三浦淳
相次ぐ私立大の不祥事を受け、学校法人のガバナンス(統治)強化策を検討してきた文部科学省は、今月議論を終えて同省に報告書を出した有識者会議とは別に、新たな会議を設けてさらに議論を続けることを決めた。有識者会議は理事会の権限の大幅縮小を提案したが、私立大側の反発が収まらず、文科省は年内の強化策の取りまとめを断念。年明け以降も議論し、合意形成をはかることにした。
文科省は7月、有識者でつくる「学校法人ガバナンス改革会議」を設置。同会議は今月3日、現行制度で理事長の諮問機関と位置づけられている評議員会を学外の人だけの組織とし、学校法人の最高議決機関としての機能を、理事会から評議員会に移すことなどを提案した。会議のメンバーは公認会計士や弁護士、会社法や企業統治に詳しい大学教授らが中心だった。
同会議の案に対し、私立大側は「株式会社の考え方を導入しようとするもので合理性を欠く」「教育や研究を知らない学外者が学校法人の経営判断をするのは困難」などと反発。11月の自民党文部科学部会でも反対論が大勢を占めていた。
文科省は当初、理事会の意思決定機関としての機能を維持した上で、評議員会に監督機関としての役割を与える案を検討していた。だが、私立大側と有識者会議側の意見対立が激しいことから、新たに会議をつくる異例の対応に踏み切り、丁寧な議論を積み重ねることにしたという。(三浦淳)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル